冴え!

【21】人間の幸福と不幸……それは人間が思うほど大きなひらきがあるわけじゃない(死神)

©️水木プロダクション  平和で自由で豊かな日本では、“幸福”が人生の最大の目的のようになっている。 “幸福”がよくて、“不幸”がイヤだという人は、両者に大きな開きがあると思っているのではないか。しかし、ほんとう...
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【20】人生とは、一冊の漫画の本のようなものだ(闇の案内人)

©️水木プロダクション  前回、前々回で“死”を肯定的に捉えていた水木サンは、“生”についてはどう考えていたのだろうか。  その一部を推察できるのが、冒頭の一言である。 『鬼太郎夜話』で鬼太郎を亡き者にしよ...
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【19】結局、人間は、死があったほうがよい(猫寺の和尚)

©️水木プロダクション  前回に引き続き、“死”にまつわる短編、「不死の酒」を見てみよう。  話の筋立ては、実に単純である。死がないと、人間は永遠に苦しむというだけのことだ。だが、数多あるこの手の話の中で、水木サ...
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【18】いえ、隠しておかないと、自殺者が増えますからネエ、イヒヒヒ(守護霊)

©️水木プロダクション  死後の世界。  それを考える前に、現世とは何かを考えてみよう。 「不思議電車」では、現世は“巨大な電車”として描かれる。人間の誕生は、車掌である死神が、魂を電車に放り込むことからは...
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【17】詩と称してウドンのような字を書いてれば世間は通るんだ(詩人・熊谷)

©️水木プロダクション  芸術は高尚である。  しかし、高尚であればあるほど、ふつうの人にはわかりにくい。  芸術家は、だれしも高尚な作品を創りたい。だが、その才能がないとき、芸術家は往々にして、単にわかり...
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【16】小次郎は、子供がクリスマスケーキを食いそこねたような顔をして死んでいた(ト書き)

©️水木プロダクション  水木マンガのト書きには、コマの絵を引き立てるだけでなく、含蓄と示唆に富んだものが多い。その描写の妙は、小説もはるかに及ばないすぐれた表現となっている。中でも「新講談・宮本武蔵」の「闘牛」は、名...
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【15】きかない薬を作るのが我々の崇高な使命なんだ(製薬会社の社長)

©️水木プロダクション  製薬会社が提供する薬がなくては、医療は成り立たない。薬のおかげで多くの病気が治るのも事実だが、それをふまえても、製薬会社はある意味、奇妙な企業である。  製薬会社の商品は薬 → 薬は病気...
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【14】バカタレ! 勲章をもっている人間がウソをつくものか(ねずみ男)

©️水木プロダクション  さて、水木マンガの中でも、取り分け有名な作品、「勲章」の登場です。  丸顔の少年が無心にイモを食っていると、ねずみ男が『じゃま』と言ってどかし、天女から奪った羽衣をまとい、空中を飛びまわ...
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【13】第一、労力と報酬の採算がとれてないじゃないの(ねずみ男)

©️水木プロダクション  労力と報酬のバランスは大切である。  いくら苦しくても、それに見合うだけの報酬があれば、我慢できる。しかし、報酬はたいてい手にしてからしかわからないので、見合わなければ、バカを見たという...
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【12】そうだ いつまでも庶民の仲間じゃあいやだね(安サラリーマン豊島)

©️水木プロダクション “庶民”という言葉は、決して悪い意味ではない。世間一般の人のことで、“庶民的な”と言えば、むしろ親しみやすいイメージがある。  しかし、面と向かって「庶民」と言われると、多くの人が...
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【11】うん、偉人の伝記なんかにはそんな話がよくあるな…しかし凡人の伝記は悲惨だ(「運命の神」)

©️水木プロダクション  子どものころ、偉人伝をよく読んで、憧れたり希望に胸を熱くしたりした。まだ人生を知らないから、自分にも何かしらのドラマや、“成功”というご褒美が待ち受けているような気がしたのだ。知らないというこ...
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【10】人生はそれでいいんだ……(丹角先生)

©️水木プロダクション さて、水木しげるの慧眼の中でも、その迫力において特に有名(『水木しげる漫画大全集』64の帯にも採用されている)かつ意義深いセリフの登場です。  テーマは「錬金術」。ボロ長屋の一室で、ちょ...
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【9】初めて心臓が正常に鼓動しているような気がするナ(失業男・山田)

©️水木プロダクション  自由で安全で豊かな日本。しかし、イジメやリストラ、虐待や格差社会など、ストレスのタネも尽きない。そんな現実の中で、我々の心臓は、正常に鼓動していると言えるだろうか。 『不思議シリーズ』に...
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【8】堀部安兵衛みたいな、勇猛でさえあれば幸せにありつけると思いこんでるやつと、つきあえるかい(田宮伊右衛門)

©️水木プロダクション  水木しげる版『東海道四谷怪談』では、お岩と結婚する田宮伊右衛門が、赤穂浪士のひとりとして描かれる(鶴屋南北も同作を『仮名手本忠臣蔵』の外伝として描いている)。  主君の仇を討たんと、血気...
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【7】だがナンダカ族は我慢しない(ナンダカ族の若者)

©️水木プロダクション  我慢はつらい。  しかし、日本人は戦時中、「欲しがりません勝つまでは」をスローガンにしていたように、我慢が好きな人が多い。  私は子どものころから我慢が嫌いだった。できるだけ楽をし...
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【6】子供がママゴト遊びでキモチのいい家庭を夢想するように、百姓、宮川久次郎は、剣術で結構、武士の気持ちにもなれ、気分もさわやかだった(ト書き)

©️水木プロダクション  最近はママゴト遊びもめったに見られないが、かつては地面にゴザを敷いて座敷に見立て、泥団子や草を食事に模して、大人になりきるごっこ遊びがあった。  近藤勇を主人公にした「星をつかみそこねる...
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