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【53】いっしょうをらくな道をいくか、でこぼこの道をいくかはただくばられる魔の紙にかかっているのだ(いも太といぼ)

©️水木プロダクション 「くばられる魔の紙」とは、試験用紙のこと。  いも太は赤ん坊のときから額にいぼがあり、両親が取ろうとしても、泣き叫んで抵抗した。いも太が愛情を込めて育てたおかげで、いぼは成長し、あるとき、...
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【52】はじめてだって、死はだれにだってはじめてだろう(死神)

©️水木プロダクション  当たり前のことなのに、だれもが意識しないこと。 「たたり」という短編は、たたりのある家が建っているため、土地が売れないと嘆くブローカー風の男に、サングラスをかけた初老のヤクザが、『土地が...
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【51】一番病、あるいはエリート病、あるいは征服病といってもいいかもしれません」(カンオケ屋の弟子・幸吉)

©️水木プロダクション  さて、Wikipediaでも独立した短編として紹介され、『水木しげる漫画大全集』第70巻、「水木氏のメルヘン」(全)の表紙にも取り上げられている「一番病」の登場です。 『江戸一番のカンオ...
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【50】だけど、文化があまり河童を幸福にしないことがわかったので、河童は自然に帰ったのだ(河童のかん平)

©️水木プロダクション  文化は人間を幸せにするために発展する。  ある程度までは、そうだろう。だが、適度な発展を超えてしまうと、文化も文明も、得てして本来の目的を見失ってしまう。 『河童の三平』は、河童に...
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【49】決戦を前にして理屈が多すぎやしないか(ニセ鬼太郎)

©️水木プロダクション  初期の鬼太郎の長編「鬼太郎夜話」には、貸本漫画版と、『ガロ』版の2バージョンがある。 『ガロ』版では鬼太郎の誕生秘話から詳しく描かれるが、貸本漫画版は、ねずみ男が吸血木のタネをフランク永...
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【48】武蔵は人がなんと言おうと平気だ、という人間でもなかった(ト書き)

©️水木プロダクション 「新講談 宮本武蔵」の最終話は、熊本の細川家に客分として招かれた後の武蔵を描いている。  そもそもなぜ、武蔵は大名の招きに応じたのか。前話の「コブ」のラストでこう書かれる。 『武蔵は...
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【47】お通の白いももに思いをはせて、心にスキが生じたのである(ト書き)

©️水木プロダクション  さて、【1】と【16】で取り上げた「新講談 宮本武蔵」は4話からなり、その第3話「人吉の一席」は、武蔵が思いを寄せるお通から、『人吉の旅籠でぜひお会いしたい』という手紙を受け取るところからはじ...
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【46】あんなものを子供に読ますから、あとになって世の中がわからなくなって苦労するんだ(方丈の庵に住む小坊主)

©️水木プロダクション 「神変方丈記」という作品は、ねずみ男の命を受けたメガネ出っ歯の忍者『タコ丸』が、方丈の庵に住んでいる丸顔の『小坊主』を亡き者にするため、『家のついた車』をプレゼントするところからはじまる。 ...
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【45】大臣と大将だけしか集まりません(牛五郎)

©️水木プロダクション  有事の折、国の指導者が動員をかけたとき、大臣と将軍しか集まらない軍隊では勝ち目はない。そんなことにならないよう、国の指導者はふだんから兵隊たちを大事にし、不平不満が溜まらないようにしておかなけ...
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【44】『悪』に対する免疫性こそ大政治家の資格です(書記のゴマ)

©️水木プロダクション 「こどもの国〈第二話〉」のタイトルは、「くさった国」で、身もフタもない現実が語られる。  三太による理想クーデターで「こどもの国」を追放されたニキビに、ゴマが『土方でもしましょうか』と、意...
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【43】国民を型にはめて便利に使いやすくいたしましては(書記のゴマ)

©️水木プロダクション 【4】で採り上げた「こどもの国」のシリーズは、冴えてる一言が満載であるだけでなく、子どもに政治とか社会の実態を教えるテキストとしても使えるくらい、あられもない真実を描き出している。  戦国...
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【42】あなたは幸福の準備だけなさったのヨ(ある役人の妻)

©️水木プロダクション  水木サンは後年、会員1人の「幸福観察学会」を立ち上げ、人間の幸福について探求を重ねた。人はだれしも幸福を求めて生きているが、果たしてほんとうに幸福になっているのか、というギモンが発端である。 ...
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【41】天才はしばしば狂人とまちがえられるものだよ(名誉ある劇画家)

©️水木プロダクション  自分を天才だと錯覚する瞬間。  それはたとえようもなく甘美で、エネルギーに満ち、恍惚を伴う刹那だろう。根拠はないものの、たしかな実感を伴っているので、当人には疑いようのない事実として確信...
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【40】戦争がおわると軍事評論家はすぐ失職するんです(軍事評論家)

©️水木プロダクション  これは『ムーの地下帝国』の男が、軍事評論家に化けて、ねずみ男の前に現れたときに出るセリフだ。失業中のねずみ男に取り入るため、自らも失職したことを打ち明けるのである。  ねずみ男は『なんだ...
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【39】長い間、体を動かすことなくめしを食っておるエライ人間じゃ(忍術評論家「大壮玄語」)

©️水木プロダクション  だまされるマジメな人々。  たいていの人はまじめで善良だが、疑う能力が十分でない。言われたことをそのまま信じる傾向がある。特にエライ人が言うと信じる。  エライ人とは、肩書のある人...
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【38】昔からチョコレートだってガムだって、名前の割に中身は変わってないじゃないか(芋あめ屋になったゴマ)

©️水木プロダクション  ものを売るための戦略。  中身を大して変えず、名前だけ変えて、さも新商品のように売る。車やパソコン、電化製品、スマホやゲームなどがその類だろう。でなければ、画期的な改良がそう定期的にでき...
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